「電力」という言葉から社会の人々が受けるイメージはどのようなものでしょうか。おそらく,「非常に古臭いもの」とか「成熟分野なので面白い内容はない」というのが一般的であるように思われます。
しかし,「電力」を「電力システム」としてとらえると,ほかの先端的な分野と同じく,非常に新鮮で面白いテーマが数多くあります。
本書では,従来の電力系統を構成するハード面の説明は別の成書に譲るとして,計算機を用いた電力システムの運用と計画のソフト面を強調した内容になっています。特に,電力系統制御の計算機システムの開発に携わった経験を有する著者の観点からの記述にも努めたつもりです。
本書を読まれた方々が一人でも多く現在のコンピュータを主体とした電力システムへの理解を深められ,近年のエネルギー問題,環境問題,規制緩和などに代表される電力を取り巻く環境の変化に対応した新しい電力システムの構築に向けて挑戦されるきっかけになれば幸いです。
1. 電力システムとその特徴
2. 電力系統の表現方法
3. 電力回路網方程式
4. 電力潮流計算
5. 経済負荷配分
6. 電力系統の安定度
7. 電力系統の制御
8. 電力システムの新潮流